
先日、インテリアライフスタイル展2026に出展しました。
実は、展示会出展は実に7年ぶり。コロナ禍以降、初めての出展でした。
久しぶりの出展となる今回、テーマにしたのは “私たちが届けるくつろぎの多様化”。
展示会に出ていない間も、国内外を問わず、様々なくつろぎの道具をお届けしてきました。
お客様と一緒に作り上げてきたその軌跡は、寛具に「くつろぎの幅」
そして、そんな寛具を作り続ける、職人たちの日常と、ものづくりの哲学も添えて。
今回は「くつろぎジャーナル」をご覧のみなさまにも、会場で表現したそれらの展示をご紹介します。
ブースを貫く「1本のライン」

展示ブースの壁には「ものづくりの様子」と「生まれた寛具たち」を展示します。
L字型の壁の真ん中には、「1本の水平なライン」を引きました。
私たちがお届けする寛具は、機械からポンッと生まれるわけではありません。職人の手仕事というバトンが次々と渡されていく、その「繋がり」の先にある結晶なのです。
そんな想いを、ラインに込めました。
職人たちの「ものづくりの日常」と「哲学」

ラインの始まりである左側の壁面には、工房で職人たちが使っている道具を展示しました。
洛中高岡屋のものづくりは、裁断・縫製・わた入れ・仕上げの4つの工程からなっています。それぞれの工程で、職人たちは「お客さまのくつろぎ」を考え、ものづくりに向き合います。
そんな彼らが使う道具は、ユニークで愛おしいものばかり。
洛中高岡屋の工房の様子を、少し覗いてみましょう。
00. 指図書:ものづくりの設計図

実は、ご紹介した4つの工程の前にある、とても大切なものがこの「指図書」です。
洛中高岡屋の寛具は、お客様と一緒につくるもの。
指図書は、お客様の想いを職人に伝えるためにプランナーが用意する、大切な書類です。
お客さまが選んだ生地やデザインだけでなく、職人への相談ごとを書くことも。
工房にあるすべての商品には、この指図書がついています。
指図書には、お客さまの名前が入ります(今回は展示会の名前を記載しました)。
「この人の笑顔のために」
そう想いながら、職人の手から手へバトンが渡され、寛具が生まれる旅が始まります。
01. 裁断:その手から、ものづくりがはじまる

工房に響き渡る小気味良いはさみの音は、指図書からバトンを受け取ったものづくりのスタートです。
美しい寛具は、美しい裁断から。
この先に続く職人の工程にも思いを馳せながら、布目を読み、生地の特性を見極めながらはさみを進めます。
ひとつひとつ、オーダーメイドでお仕立てしている洛中高岡屋の寛具。
オンラインショップのお客さまでも、ホテルや施設さまのプロジェクトでも変わらない、私たちのものづくりの姿勢です。
それによって叶うのが、お客さまのニーズに合わせたカスタムオーダー。
ご希望のサイズに仕上がるように、想いを形にできるように。裁断の職人の手にはいつも、電卓とメジャー、そして小さな鉛筆が。
仕上がった寛具とお客様の笑顔を想像しながら、美しく、そして無駄なく生地を活かすための正確な計算に欠かせない道具たちです。
▼ 職人が実際に使っている電卓やメジャー。鉛筆やチャコペンは最後のギリギリまで使うのがこだわり。
02. 縫製:ミシンを操る、手仕事の妙

生地に合わせて糸を選び、針を走らせる。
ミシンは、工房で使用している数少ない「機械」。
でも、それを操るのは繊細な職人技に他なりません。
生地の厚みや伸びを見極めながら縫い合わせる「人の手による確かな手仕事」が、多彩な寛具のしっかりとした骨格を作っています。
商品に合わせてつけるブランドネームや、色とりどりの糸なども展示しました。
03. わた入れ:くつろぎを決める、見えない技術

代々受け継がれてきた感触の記憶を頼りに、機械を使わず手でわたを「入れる」。
寛具のくつろぎ心地を決める、とても重要な工程です。
使い込んでも凸凹せず、美しく均一にわたが馴染む。
それこそが、熟練の職人だけが成せる「いいわた入れ」の証です。
使う人を想い、今日もわたと向き合います。
04. 仕上げ:こだわりの美意識を、細部にまで

工房の中でも随一の、様々な工程が行われる「仕上げ」。
数えきれないほどのこだわりが光ります。
一際目を引く、L字型の木製の道具は、「絎け(くけ)」という作業をするためのもの。
わた入れのために生地にあけていた口は、縫い目が見えない和裁の技法「絎け(くけ)」を用いて、丁寧に縫い閉じていきます。
お座布団の真ん中についた房は、「綴じ(とじ)」といいます。
生地とわたがずれないように、ひとつひとつ丁寧に施します。
お座布団やお布団を貫通させるため、長い針を用います。分厚い生地も多いので、指を守る指貫も用います。
▼ 左端の針は「絎け」用、その隣は「綴じ」用の長い針。針山も職人たちの手作り。綿生地・葵色でおめかし。
細部を整え、佇まいを整え、ひとつの寛具に仕上げます。
完成のその時まで、最後まで手仕事で。
くつろぎとやわらかな笑顔が届きますように。
手仕事から生まれた、個性豊かな寛具たち

ものづくりのラインが辿り着く右側の壁面には、多様で色とりどりの寛具が。
お布団屋さんとして身体を休めるための「寝具」
時代やライフスタイル、
伝統的で風格ある佇まいものから、暮らしに馴染むデザインまで。
変わらないのは、お使いいただくその人のくつろぎと笑顔を想ってお仕立てするものであるということです。
「寛具(かんぐ)」に込めた想いを、これからも
創業100年の節目に名付けた「寛具(かんぐ)」という言葉。
「くつろぐと人は自然と笑顔になる」という気付きから、ひたむきにくつろぐためのものづくりを続けています。
お手元にある寛具、あるいはこれからお迎えいただく寛具にも、その想いは詰まっています。
便利で、何でもすぐに手に入る時代だからこそ、私たちは手仕事にこだわり「てまひま」をかけることを惜しみません。
職人の美しい手仕事の先にあるのは、使う方々の心地よさそうな笑顔。
お客さま一人ひとりの、自由で心地よいくつろぎの時間をデザインするために、今日も私たちは心を込めて、寛具を仕立てています。




